「便秘」は、年齢に関わらず女性に多い悩みですが、40〜50代になり、「便秘が悪化した」「今まで便秘ではなかったのに便秘になった」なんてことはありませんか?
実は「便秘」も更年期に多くみられる症状のひとつなのです。
「便秘はしょうがないし・・・」と放置していると、健康や美容に悪影響が生じます。
更年期の女性は、一般的に便秘を解消するために効果的な食物繊維などを食べるだけではなく、女性ホルモンの減少による便秘の原因にもアプローチが必要です。

そこで今回は、更年期の女性が便秘を解消するための「食事のポイント」についてご紹介します。
管理栄養士おすすめの「便秘解消に効果的なレシピ」もご紹介するので、参考にしてみてください。
更年期に便秘になる原因
更年期の時期に便秘になってしまう原因は
主に
- 自律神経の乱れ
- 筋肉量の低下
- 食生活の乱れ
この3つです。
自律神経の乱れ
便秘は「自律神経」と密接な関係があります。
腸の消化や吸収の働きをコントロールしているのが「自律神経」です。
自律神経が乱れると、便を運ぶ大腸の蠕動運動が低下し、便秘になりやすくなります。
自律神経が乱れる原因には、「ホルモンバランスの変化」や「ストレス」があります。
更年期の女性は、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が急激に減少し、自律神経の乱れが生じやすくなります。
⇒自律神経と深く関わる2つの女性ホルモン、プロゲステロンとエストロゲン
また、更年期の症状である「イライラ」や「憂うつ」などの体調の不調により、ますます自律神経が乱れやすくなります。
⇒更年期でイライラ・焦燥感が起きる原因。6つの対策とおすすめの過ごし方
筋肉量の低下
加齢により、筋肉量が減少することで、腸の蠕動運動をする力も低下します。
そのため、更年期頃の女性は20〜30代よりも、便秘になりやすくなります。
また、女性は便を排出する時に必要な腹筋の力が弱いため、男性よりも便秘になりやすいのです。
食生活の乱れ
無理なダイエットを行うと、食事量が減少し、便のカサが減少。
便のカサが少ないと、腸の蠕動運動が弱くなり、便秘につながります。
また、更年期頃の女性は仕事や家事が忙しく食生活の乱れがち。
食生活の乱れによる「食物繊維」「良質な脂質」「水分」などの摂取不足も、便秘が起こる大きな原因です。
便秘は、上記の1つが原因で起こっているのではなく、複数の原因が絡み合って、起こることも多いのです。
便秘により起こる「カラダの不調」
便秘により、便が腸の中に長時間滞在すると、様々なカラダの不調が生じます。
- 肌荒れや吹き出物がでる
- 免疫力が低下
- お腹が張る
- 頭が重い
- イライラ、倦怠感
- 食欲不振
- 肩こり、腰痛
- 痔
便秘が改善されると、日頃感じているこれらの症状が改善する可能性があります。

便秘により、体外へ老廃物を排出できないと、カラダの新陳代謝が悪くなり、脂肪が燃えにくくなります。
その結果「太る」原因に!
さらに、「脂質異常症」「糖尿病」「動脈硬化」などの生活習慣病や「大腸がん」のリスクも高くなるといわれています。
なので、便秘はいつものことだからと軽くみて、放置してはいけません!
便秘を改善する食事
さまざまな要因が絡まりあって起こる「便秘」。
加齢などの要因は改善することが難しいですが、便秘解消のために今日からでも実践できることがあります。
それは「食生活の改善」です!
そこで、更年期の女性が便秘を解消するための「食事のポイント」を詳しくみていきましょう。
食物繊維の特徴と効果
日本人の和食離れが進み、洋食が好まれるようになると、お肉などを多く食べるようになった一方、野菜の摂取量が減少。
その結果、食物繊維の摂取量が不足傾向にあります。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、食物繊維の女性の目標量は「1日18g以上」です。
しかし、40代の女性では1日13g程度しか食物繊維が摂取できていないのが現実。
したがって、食物繊維は意識して、積極的に食事に取り入れなければ、十分な量を摂取できないのです。
食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります。
この2つの食物繊維はそれぞれ別の働きをしています。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、腸内で発酵分解され、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やす働きがあります。
善玉菌が増えることで、「腸内の環境を整える」効果があり、便秘の症状が改善されます。
水溶性食物繊維が多く含まれる食材には、きのこ類、海藻類、野菜、果物などがあります。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむ性質があり、便を適度なやわらかさにしたり、便のカサを増加させたりします。
これにより、腸を刺激し、蠕動運動を活発にすることで、便通を良くします。
不溶性食物繊維が多く含まれる食材には、精白度が低い穀類、野菜、豆類、甲殻類の殻などがあります。
食材100gあたりに含まれる「食物繊維の量」
食材 | 水溶性食物繊維(g) | 不溶性食物繊維(g) | 食物繊維の総量(g) |
玄米 | 0.7 | 2.3 | 3.0 |
雑穀 | 1.0 | 4.2 | 5.1 |
そば | 1.0 | 1.7 | 2.7 |
ライ麦パン | 2.0 | 3.6 | 5.6 |
コーンフレーク | 0.3 | 2.1 | 2.4 |
あずき(ゆで) | 0.8 | 11.0 | 11.8 |
いんげん豆(ゆで) | 1.5 | 11.8 | 13.3 |
だいず(ゆで) | 0.4 | 6.4 | 6.8 |
きな粉 | 1.9 | 15.0 | 16.9 |
えだまめ(生) | 0.4 | 4.6 | 5.0 |
おから(生) | 0.4 | 11.1 | 11.5 |
納豆 | 2.3 | 4.4 | 6.7 |
さつまいも | 0.6 | 1.6 | 2.2 |
さといも | 0.8 | 1.5 | 2.3 |
いりごま | 2.5 | 10.1 | 12.6 |
プルーン | 3.4 | 3.8 | 7.2 |
レーズン | 1.2 | 2.9 | 4.1 |
アボカド | 1.7 | 3.6 | 5.3 |
キウイフルーツ | 0.7 | 1.8 | 2.5 |
りんご | 0.5 | 1.4 | 1.9 |
グリーンピース | 0.6 | 7.1 | 7.7 |
ゴボウ | 2.3 | 3.4 | 5.7 |
おくら | 1.4 | 3.6 | 5.0 |
かぼちゃ | 0.9 | 2.6 | 3.5 |
ニンジン | 1.3 | 2.5 | 3.8 |
ぶなしめじ | 0.3 | 3.4 | 3.7 |
しいたけ | 0.4 | 3.8 | 4.2 |
えのきだけ | 0.4 | 3.5 | 3.9 |
まいたけ | 0.3 | 3.2 | 3.5 |
わかめ | − | − | 3.6 |
焼き海苔 | − | − | 36.0 |
毎日食事に、野菜、きのこ、海藻、豆類を多く取り入れることはもちろん、普段食べている「主食を玄米にする、白米に雑穀を混ぜる」「パンはライ麦パンに変更」できると、食物繊維の摂取量をアップさせることができます。

ただし、ストレスなどが原因で起こる、けいれん性の便秘の場合は、腸に刺激を与えてはいけないので、食物繊維を控え、消化の良いものを食べましょう。
大豆イソフラボンの特徴と効果
更年期になると急激に減少してしまう女性ホルモンの「エストロゲン」。
エストロゲンに似た働きをする「大豆イソフラボン」を食物から摂取することで、自律神経の乱れを整えることができます。
よって、女性ホルモン減少による自律神経の乱れが原因で起こる「便秘」の改善に効果が期待できます。
⇒エクオールの元になる大豆イソフラボンを含むおすすめの食材まとめ

大豆イソフラボンは大豆製品に多く含まれています。
さらに、大豆には食物繊維も含まれているので、積極的に食事にとりいれましょう♪
発酵食品の特徴と効果
発酵食品に含まれる「乳酸菌」や「ビフィズス菌」などの善玉菌には、腸内環境を整える効果があります。
乳酸菌やビフィズス菌が豊富に含まれる食材
- ヨーグルト
- ナチュラルチーズ
- キムチ
- ぬか漬け
- 味噌
- 塩麹
- 甘酒

乳酸菌などの善玉菌は、腸内にずっと定着しているのではなく、排出されるので、毎日の食事でとりいれましょう。
また、納豆に含まれる「納豆菌」には、悪玉菌の繁殖を抑え、乳酸菌を増やす効果があります。
納豆菌をよく摂取する人と摂取しない人を比較すると、乳酸菌の量が10倍も違うという調査結果があります。
オリゴ糖の特徴と効果
炭水化物の一種である「オリゴ糖」は、腸内環境を整える乳酸菌やビフィズス菌などの「善玉菌のエサ」になり、腸内の善玉菌を増やす効果があります。
したがって、乳酸菌などとオリゴ糖を一緒に摂取すると効果アップが期待できます!
オリゴ糖が豊富に含まれる食材
- 玉ネギ
- キャベツ
- ゴボウ
- ジャガイモ
- アスパラガス
- だいず
- ニンニク
- はちみつ
適度な油分の効果
女性はダイエットのため「油分」を避けている方が多いですが、これも便秘の原因になります。
油分は、固くなった便を柔らかくしたり、潤滑油の役割を果たし、便の滑りを良くしたりと大切な成分。
特におすすめな油分は、「エクストラバージンオリーブオイル」。
エクストラバージンオリーブオイルには「オレイン酸」が含まれ、腸を適度に刺激してくれます。
1日スプーン2杯程度を食事に取り入れるようにしましょう。
水分の効果
理想的な便には、水分が70%程度含まれています。
水分は便を柔らかくする効果があります。
また、朝に冷たい水をコップ1杯飲むことで、腸を刺激して排便を促進します。
規則正しい食生活
特に朝食は重要!
「腸を働かせるスイッチの役割」が朝食にはあります。
朝食が腸を刺激し、排便を促します。
3食規則正しく食べることで「体内時計」を整えることも、便秘解消には必要不可欠。
毎日決まった時間に食事を食べ、腸も規則正しく動くようにし、決まった時間に排便をする習慣をつけましょう。
また、規則正しく食事を食べることが、自律神経のバランスを整えることにもつながります。
腸内環境を整えてつらい便秘を改善!管理栄養士おすすめレシピ
便秘を改善するためには、毎日食事で「食物繊維」「大豆製品」「発酵食品」「良質な油」などを積極的に取り入れることが大切です。
そこで、今回は家庭で簡単にできる、便秘解消効果が期待できるレシピをご紹介します。
ゴマヨーグルトドレッシングで食べる♪豆とわかめのサラダ
ゴマ、豆、わかめ、野菜の食物繊維、乳酸菌が含まれるヨーグルト、良質な油分であるオリーブオイルが一緒に摂取できるサラダです。
手作りゴマヨーグルトドレッシングは、さっぱりとしていて、ご家庭にある野菜、豆腐、蒸した鶏肉にかけても美味しく召し上がって頂けます。
ゴマヨーグルトドレッシングで食べる♪豆とわかめのサラダのレシピ
材料 | 2人分 |
プレーンヨーグルト | 大さじ2 |
エクストラバージンオリーブオイル | 大さじ1 |
いりごま | 大さじ2 |
醤油 | 小さじ1 |
砂糖 | 小さじ1弱 |
乾燥わかめ | 10g |
かぼちゃ | 1/8個 |
ミックスビーンズ | 1パック(50g) |
①わかめは水に戻し、食べやすい大きさにカットします。
かぼちゃは2cm角に切り、耐熱皿に入れラップをし、電子レンジで約4分加熱します。
ミックスビーンズはザルにあけ、水気を切っておきます。
②すり鉢にゴマを入れ、しっかり擦ります。
そこへヨーグルト、エクストラバージンオリーブオイル、醤油、砂糖を加え、よく混ぜ合わせます。
③皿へわかめ、かぼちゃ、ミックスビーンズを盛り付け、ドレッシングをかけて出来上がり。
栄養価 | 1人分 |
エネルギー | 216kcal |
タンパク質 | 6.7g |
脂質 | 12.0g |
食物繊維 | 8.1g |

油はとても酸化しやすいです。
油の酸化防止のためにも、ドレッシングは食べる直前に手作りすることをおすすめします。
ランチにぴったり♪簡単納豆キムチ丼
キムチには、ヨーグルトと同じ「乳酸菌」が豊富に含まれています。
女性ホルモンであるエストロゲンと似た構造をもち、更年期症状を緩和させる効果がある「大豆イソフラボン」が納豆にはたっぷり♪
また「乳酸菌」と「納豆菌」はとても相性が良く、一緒に食べることで腸内の乳酸菌が増加します。
ランチにぴったり♪簡単納豆キムチ丼のレシピ
材料 | 1人分 |
納豆 | 1パック |
キムチ | 50g |
キムチの汁 | 小さじ1 |
卵 | 1個 |
玄米ご飯 | 1膳(約120g) |
エクストラバージンオリーブオイル | 小さじ1 |
かいわれ大根やネギなど | お好みで |
①細めの耐熱用のコップに、卵を割り入れます。
爆発防止のため、お箸で卵黄にしっかり穴を開けます。
そこへ水を大さじ3入れ、ラップをせず、電子レンジで約50秒加熱し、温泉卵を作ります。
②納豆は混ぜておきます。
③納豆の付属のタレ、エクストラバージンオリーブオイル、キムチの汁を混ぜます。
④ご飯をどんぶりへよそい、キムチ、納豆、温泉卵、かいわれ大根を盛り付け、③のタレを全体に回しかけたら出来上がり。
栄養価 | 1人分 |
エネルギー | 582kcal |
タンパク質 | 22.2g |
脂質 | 30.0g |
食物繊維 | 6.2g |

玄米には、白米の約3倍の食物繊維が含まれ、便のカサを増やす効果があります。
また「炭水化物の代謝促進」「疲労回復」の効果があるビタミンB1も豊富です。
忙しい朝に!プルーンとバナナのきな粉ヨーグルトスムージー
材料をすべてミキサーにいれるだけ!
時間がない朝でも、食物繊維や乳酸菌がしっかり摂取できる簡単スムージーです。
材料 | 1人分 |
バナナ | 小ぶりのもの1本 |
ドライプルーン | 3個 |
プレーンヨーグルト | 100g |
牛乳 | 100mg |
きな粉 | 大さじ1 |
プルーンとバナナのきな粉ヨーグルトスムージーのレシピ
①ミキサーやハンドブレンダー用の容器へ、バナナ、プルーン、きな粉、ヨーグルト、牛乳を入れ、混ぜる。
②①をコップに移し、出来上がり。
栄養価 | 1人分 |
エネルギー | 331kcal |
タンパク質 | 12.5g |
脂質 | 9.7g |
食物繊維 | 5.1g |

プルーンには、便秘解消効果のある「食物繊維」、貧血予防になる「鉄分」が豊富。
バナナとプルーンに含まれる「カリウム」には、過剰なナトリウムを排泄する作用があり「むくみ」の解消効果が期待できます。
まとめ
便秘を解消するためには、毎日規則正しく、栄養バランスの良いお食事を心がけ、食物繊維が豊富な野菜、発酵食品、大豆製品などを積極的に食べるようにしましょう!

便秘を解消し、腸内環境を整え、健康と美しさを手に入れましょう♪