更年期に入り、便秘に悩まされるようになった方は多いのではないでしょうか?
今まで便秘に悩まされたことが無かった方も、更年期の時期をきっかけに急に便秘になったりすることがあります。
長く続くと、お腹が張ってつらかったり、食欲が落ちてきてしまいますし、なにより不快感でスッキリとせず、気持ちまで落ち込んでしまいます。
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この記事ではそんな更年期の便秘について詳しく紹介しております。少しでも参考になれば幸いです。
更年期の便秘について
更年期になり、なぜ急に便秘になってしまうのか。
最初は心当たりが見当たらずに悩んだ方も多いと思います。
更年期障害とはそもそも、今まで女性ホルモンによって保たれてきた体のバランスが、女性ホルモンが急激に少なくなっていまうことによることで起こる体の不調です。
その症状のひとつに、便秘も含まれます。
この便秘も、女性ホルモンが関係していたり、更年期障害の他の症状から引き起こされたりする場合もあります。
更年期が終われば便秘も治まるだろう、と軽く考えたいところですが、日々続くこととなると症状もつらく、放っておくわけにもいきません。
のちほど、更年期における便秘の原因や対策など詳しくお伝えしますが、まずは更年期の便秘について、どのような症状があるのかを次の項目でみてみましょう。
更年期の便秘の症状
更年期での便秘には、このような特徴がある場合があります。
- ウサギの糞のようにコロコロしている
- 排便が全く無いわけではないが、スッキリしない
- 急に腹痛がおこり排便がある
今までは便秘といっても、あまり便自体に変化はなかったり、腹痛が伴うようなことは無かったという方もいらっしゃると思います。
それぞれの症状の特徴をもう少し詳しくみていきましょう。
ウサギの便のようにコロコロしている
これはタイトルの通り、コロコロとした便が特徴です。
排便時に特につらく息まなければならないわけでもないのに、なぜかコロコロしていたりします。
もちろん、排便時に痛みを伴うことも多くあります。
このコロコロとした便は「硬便 こうべん」や「兎糞 とふん」と言われます。
これは水分が少ない状態で長く腸内に便が留まることで、このような形になっていきます。
いつもお尻の近くが重く、痛いような感じがする方もいらっしゃると思います。
それはまだこのコロコロ便が腸内に残っていて、便同士がこすれたり、腸管にすれたりして違和感や痛みが生じているのです。
少しずつでも出てるから良い、と思いがちですが、そのまま放置してしまうと、さらに硬くなり、なおかつコロコロとしているので、息んでもでてこなかったり、便が腸管を傷つけてしまったりする恐れがあります。
排便はあるがすっきりとしない
こちらは、毎日それなりに排便はあるのに、なぜかスッキリとしないという症状です。
様々な原因によって、この残便感は引き起こされます。
しかし、残便感があるということは、やはり腸内に便が残っているということです。
そのまま放置しまうと、次第にこの前に出てきたコロコロ便へと移行していってしまう可能性があります。
急に腹痛に襲われ、排便がある
こちらの症状は、ちょこちょこ排便があることもあれば、何日か全く出ないという場合もあります。
急に動けない位の腹痛に襲われ、はじめは何の腹痛か分からずにのたうち回っていると、次第に便意をもよおしてくる、ということもあります。
そこまでの激痛ではなくとも、排便前には必ず腹痛に襲われる、というパターンです。
これは、腸の動きが鈍くなっていて、便がある程度溜まってしまってから、急に腸が動き出したことで起こります。
腸が動き出したけれど、硬い便が溜まっているせいで、スムーズに排便できず、腸の動きと排便に至るまでのペースの違いによる腹痛です。
排便が済めば、嘘のように腹痛も治まります。
しかし、またある程度便秘になり、硬い便が溜まるまでは排便はなく、溜まったら腹痛とともに排便が起きる、というサイクルになってしまうこともあります。
このように、ただ何日か便秘で排便がない、というような症状だけではなく、便自体に変化があったりすることも、更年期の便秘に多くみられます。
では、なぜこんな便秘の症状が起こるのでしょうか。
更年期の便秘の主な原因
はじめにもお話しましたが、更年期では女性ホルモンの急激な低下という大きな変化が体に起こります。
女性ホルモンが低下してしまうことで、様々な原因から便秘が起こります。
どのような原因があるのか、詳しく見ていきましょう。
自律神経の乱れによるもの
女性ホルモンの低下に伴って、自律神経がバランスを崩してしまうことが更年期にはよく見られます。
自律神経が乱れることで、様々な症状が現れますが、そのなかのひとつに便秘もあります。
自律神経のバランスが崩れると、腸の動きが鈍くなってしまい、スムーズに便が排出できずに便秘になってしまいます。
腸の動きが低下しているので、ガスが溜まってお腹が苦しかったり、痛みを伴う張りがあることもあります。
食生活による影響
更年期障害によって気分が優れずに、今までできていた食事の用意などがなかなかできないという方もいらっしゃると思います。
ついついお惣菜やインスタント食品、ファストフードなどで済ませてしまいがちな食事が、実は便秘の原因になっているかもしれません。
インスタント食品やファストフードなどは、どうしても食物繊維が不足してしまいがちです。
また添加物も多く入っていて、腸の動きを弱めてしまったりと、便秘になりやすい条件が揃ってしまっています。
運動不足による影響
こちらも、更年期障害によって気分が優れず、日中なかなか活動的になれずに、ついついゴロゴロとしてしまう、ということが原因になっている可能性もあります。
運動をすることで、腸は刺激されて動き、消化・排便がスムーズに行われます。
しかし運動不足になると、外的な運動刺激がなくなってしまい、腸の運動が弱くなってしまうことがあります。
また、運動をすることで、腸の周りの筋肉も刺激されるので、排便時に効率よく息むことができ、排便ができるのです。
この腸の周りの筋肉の筋力が知らないうちに低下してしまうと、息んでもうまく力が入らず、本来ならば排出できるはずの便も、なかなか排出できずに長く腸に留まってしまい、また便秘傾向になるということもあります。
ストレスの影響
更年期はストレスが溜まりやすく、しかも解消しにくいという状態が続くことがります。
脳がストレスを感じると、腸に対して信号が送られて、便秘や下痢になったりすることがああります。
このストレスによる脳と腸の関係を「腸脳相関」というのですが、脳と腸は思っている以上に深くつながっています。
長期にわたってストレスを感じたり、その時々で強いストレスを感じたりすることで、腸の動きが低下してしまい、便秘傾向に傾くことがあります。
水分不足によるもの
便秘の原因として、日常生活で気づきにくいのが、この水分不足です。
普段いつもと同じように水分を摂っているつもりでも、更年期の場合は水分が足りていないこともあるかもしれません。
ホットフラッシュが頻繁にある方は、一日何回も汗をかきます。
その汗の分、水分が補えていないと脱水傾向になってしまいます。
また、日中の活動量が低下してしまい、あまり動かないでいると喉が渇いた感じがしないため、水分の摂取量が少なくなりがちですが、水分は無意識のうちに減ってしまいます。
知らない間に脱水傾向になっているかもしれません。
水分が体内から不足してしまうと、腸内からより多くの水分を吸収しようとします。
その結果、便も水分を吸い取られ、硬くなってしまうため、スムーズに排便ができずに便秘になってしまうのです。
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意外と水分って意識しては摂らないかも・・・私も不足しているかも?
更年期の便秘への対策
更年期の便秘の原因についてみてきました。
思い当たる原因はありましたでしょうか?
便秘は日常生活での少しのこころがけで、緩和・解消できることもありますし、予防ももちろん大切です。
それぞれの原因を踏まえて、対策を見てみましょう。
食習慣の見直し
便秘の原因のところでもお話しましたが、インスタントの食品などには食物繊維が不足しがちな傾向にあります。
食物繊維は野菜などに多く含まれます。
水溶性と不溶性と2種類に分けられる食物繊維ですが、便秘対策には不溶性の食物繊維を積極的に摂取すると良いでしょう。
不溶性の食物繊維は、野菜やキノコ類、果物に含まれています。
この不溶性の食物繊維は腸内で消化されずに排泄されます。
そのため、水分を保持したまま排出されるという特性があり、便の中の水分を保ってくれるのです。
なかなか食事の支度ができなくても、買ってきたサラダを足してみたり、果物を食後に食べるなど、少しの工夫で食物繊維を摂ることができます。
また、ヨーグルトなどの発酵食品を摂ることもおすすめです。
即効性は無いかもしれませんが、徐々に腸内の細菌のバランスが整ってくれば、排便リズムも整ってくることも期待できます。
そしてもう1つ。
意識して水分を摂取しましょう。
喉が渇いていなくても、一口水分をちょこちょこと摂取することで知らない間に脱水になることを防ぐことができます。
せっかく食生活を見直しても、水分が不足していては台無しですので、ぜひ意識してしてみてください。
運動習慣の見直し
運動習慣の見直しといっても、以前から運動はしていない、と思いの方もいらっしゃると思います。
便秘に関しての運動は、特別な運動をしないというわけではありません。
更年期障害でなかなか日中、動くことが億劫になってしまい、家事なども進まないという状態も多々あるかと思います。
家事を少しするだけでも、実は結構な運動にあるのです。
ただ立って食器を洗うだけでも、お腹周りの筋肉は刺激されていますし、洗濯や掃除も運動量はなかなかのものです。
頑張って何か運動を始めるというよりは「無理のない程度で今日はこの家事をしよう」くらいの気持ちで動く程度でも、腸や筋肉は刺激されるのです。
可能であればお買い物やお散歩などで、歩くことが効果的ですが、無理をしてまですることは無いと思います。
ストレスの解消
原因のところでもお伝えしましたが、ストレスは腸にとても影響しやすいです。
ストレスを感じることで便秘を引き起こしてしまい、またその便秘がストレスになるというサイクルに陥ってしまいます。
更年期のストレスは、発散したいけれどもなかなか発散の仕方が分からなかったり、気分転換する気もおこらない、という難しい面もあります。
しかし、少しいつもと違うところへ買い物へ行ってみたり、お友達と会ってみたり、外に出るのが億劫であれば、いつもと違う柔よく剤で入浴してみるなど、小さいことで気分の変化を図ることもおすすめです。
日々の小さなストレスを気分転換程度で解消することで、リラックスして脳と腸を癒やしてあげると、気分も落ち込みにくくなったり、少し意欲的に日常が遅れるようになるなどの変化もあるかもしれません。
日常生活における便秘への対策、いかがでしたか?
簡単にできることもありますので、お腹のために少し意識してみたいですね。
しかし、これらは対策で、即効性はあまり期待はできません。
次の項目では、すでに便秘に陥ってしまっているかたへの解消法のご紹介です。
おすすめの便秘解消法
すでに便秘に悩まされている、と言う方は、先ほどお話しした対策法で徐々に症状が緩和されてくるかたもいらっしゃるとは思いますが、ここでは自分でできる便秘の解消法についてお話しようと思います。
マッサージ
便秘解消のマッサージでは、「のの字」マッサージが基本となります。
これは解剖生理学的にも効果的なやり方です。
やり方は
- 仰向けに寝て、膝を軽く曲げます。
- おへそを中心に、手のひらで時計回りに円を描くようになでる。
これだけです。
腸は体の右から左へむかって走行しています。
のの字を書くようにマッサージすることで、腸の走行に沿って動きを促し、排便をスムーズにする効果があります。
簡単な動作ですが、シンプルなだけにしっかりゆっくり力を入れてマッサージしやすく、手のひら全体で力を入れられるため、マッサージできる範囲も広く、腸全体に刺激が届きやすいです。
マッサージと言っても、腸の動きが促進されないと意味がありません。
複雑な方法もマッサージを試しても、皮下脂肪だけ揉んでいても意味が無いのです。
手で行うマッサージではありませんが、腸を動かす、という観点からは、次の2つもおすすめです。
ウエストねじり
その名の通り、ウエストの部分で体をねじり、大きな動作を行うことで腸を刺激します。
ウエストをねじろうと思うとお腹に力を入れますし、ねじることで物理的にも腸が伸ばされる部分や縮む部分ができ、腸のへの刺激にあります。
やり方は、椅子に座ったり、あぐらをかいたり、体育座りのように足を曲げて座ったりと、ご自身の楽な姿勢で結構です。
上半身を後ろに向くようなイメージで体をひねります。
ことらも、いつでも気軽に行えます。
背筋を伸ばして行うことで、より効果的です。
腹式呼吸
呼吸で腸を刺激する?
と以外に思った方もいらっしゃるかもしれません。
腹式呼吸は、横隔膜を上げたり下げたりして行う呼吸で、お腹を膨らませたりへこませたりします。
普段私たちがしている胸式呼吸は、肋骨や肋骨の周りの筋肉を動かして呼吸しているため、胸回りがわずかに膨らんだり元に戻ったりしている呼吸なのです。
胸式呼吸とは違い、腹式呼吸で横隔膜を積極的に動かすことで、腸も勝手に横隔膜に押されたり、もとに戻されたりします。
この腸への刺激で、腸の運動が活発になります。
- 腹式呼吸のやりかたは、
- 姿勢は椅子、あぐら座り、立ったままでもかまいません。
- 背筋を伸ばし、おへそに意識を向けます。
- 一度息をふうっと吐き出します。
- おへそを前に出す感覚で、息を深く吸い、お腹を膨らませます。
- おへそそ背中につけるように息を長く、細く吐き出します。
この動作を繰り返します。
お腹に軽く手を当てて行うと、お腹の動きがわかりやすいと思います。
この呼吸法をしてみたとたん、腸がコロコロと鳴る方もいらっしゃると思います。
筋肉自体を動かすので、もちろん腸も刺激され、とても効率的ですし、インナーマッスルのトレーニングにもなります。
これも、気づいた時にテレビを見ながらでもできて、手軽ですね。
腸を筋肉で揉むイメージで、ぜひやって見てください。
サプリメントを飲んでみる
食事の内容を意識したいけれど、なかなか普段毎日続けるのは難しいし、運動も大変。
気楽に試してみれるサプリメントってどんなものなのかしら。
そんな風に思っていらっしゃる方も多いと思います。
サプリメントにも様々なものがありますが、今回は安心して試せる成分を2つ、ご紹介したいと思います。
乳酸菌
こちらは、ヨーグルトや乳製品でおなじみの乳酸菌です。
最近は免疫機能にも大きく関係しているということから、手軽にチョコレートなどのお菓子でも摂取できるような商品もありますね。
乳酸菌は、腸内で増殖して腸内環境を整える作用があります。
この乳酸菌には非常にたくさんの種類がああり、各メーカーが研究を重ね、商品化されています。
ヨーグルトなどでも簡単に摂取はできますが、サプリメントは数粒飲むだけで、簡単に乳酸菌が摂取できます。
乳製品が苦手な方や、毎日ヨーグルトをなかなか食べられない方、乳糖と呼ばれる成分が合わずにお腹を崩してしまう方にもおすすめです。
どの乳酸菌が自分に合うのかは、試してみないことにはわかりません。
しかし乳酸期は副作用などは一切ないため、体に負担をかけず、しかも経済的にも高いものではないので、気軽にはじめられます。
ユーグレナ
最近、この言葉を何か聞いたことがある、と思ったかたもいらっしゃるでしょう。
ユーグレナとは、ミドリムシのことです。
ここ数年、ミドリムシの健康に関するパワーが注目され、粉末のドリンクやサプリメントが出回るようになりました。
ユーグレナには食物繊維が多く含まれています。
不溶性の食物繊維が多く含まれていて、便秘の解消には効果的なのです。
食物繊維を多く摂取することで、腸内の善玉菌を活性化し、良い腸内細菌のバランスを保つ効果もあります。
ミドリムシ、と聞くとちょっと抵抗があるかもしれませんが、ミドリムシも自然界に存在しているもので、特に副作用なども当然ありません。
こちらも、なかなか摂取しにくい食物繊維を摂取できる手軽なものなので、試してみるのも良いと思います。
頑固な便秘は診察を
これまで、便秘になりにくくする対策や、便秘の解消法などをご紹介してきました。
ですが、なかなか改善しない頑固な便秘や、長期にわたって徐々に悪化しているような便秘は、一度診察を受けられることをおすすめします。
便秘を放っておくと、痔などの外科的トラブルや、本当にひどい場合は腸閉塞など、深刻な状態へと急変しかねません。
診察を受けても、便秘薬を病院でもらうだけでしょ。
便秘薬は強そうだし飲みたくない、と言う方も多いと思います。
今回は、代表的な便秘薬についても、少しご説明しようかと思います。
酸化マグネシウム
このお薬は、赤ちゃんにも処方されることもあるほど、刺激の弱いお薬です。
便の水分も保ち、硬くなるのを防いで、便秘を解消します。
下痢になりにくいのも、この薬の特徴です。
どんな方にも使用できますので、処方されることが多いお薬の種類です。
乳酸菌
ビオフェルミンなどの、乳酸菌のお薬です。
効果は非常に緩やかですが、とても刺激の弱いお薬で安心して飲めます。
市販薬もありますが、処方してもらうとコストも安く済みますし、より安心して飲めますね。
消化器の粘膜を刺激してしまう抗生物質とともに処方されることもあります。
腸を刺激するタイプのお薬
こちらは、市販薬でもみられますが、腸を刺激して排便を促すお薬です。
一時的に便秘を一気に解消したい場合や、腸の検査の前に使用されることが多いです。
便秘を一度解消し、リセットしたい場合などには効果的なのですが、常用してしまうと刺激になれてしまい、同じ量では効きにくくなるというリスクもあります。
医師も常用するような処方はあまりしないとは思いますが、使用するのは一時的な解消を目的とする場合のみが望ましいお薬です。
便秘で受診すると、第一選択である治療はおそらくこのようなお薬が処方されると思います。
便秘薬に抵抗のある方も、お薬の内容をよく知れば効果的に便秘を解消できると思います。
市販薬の中にはとても刺激の強いタイプなどもあるため、ぜひ一度、受診されることをおすすめします。
お薬がどのようなタイプのものが出されるのが気になるようであれば、医師に質問しても良いですし、刺激の弱いものから始めたい、ということを伝えれば、納得のいく解消法が見つかるかもしれません。
まとめ
さて、更年期の便秘についてみてきましたが、いかがでしたか?
頑固な便秘は日常生活もなんだかすっきりしないものにしてしまいます。
自分でできることも、少し意識してみるだけで、お腹の調子は変わってくるかもしれません。
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ぜひこの記事を参考に、すこしでも便秘が改善したら良いと思っています。
ご自身に合った便秘の解消法を探してみてくださいね。