便秘やガスだまりなど、お腹の不快感は苦しくてとても辛いですよね。
女性なら、お腹の不快感は更年期障害にかかわらず、頻繁に悩まされる問題ではありますが、特に更年期にさしかかると、体調不良の一つの症状としてお腹の不快感が現れることがあります。
いつまでつづくものなのか・・・
改善策はないのか・・・
など、この記事では更年期障害によるお腹の辛い症状の原因や対策について解説しています。
更年期上半身-253x300.png)
今までのお腹の調子が悪い感じとは少し違う気がする・・・という方は更年期障害によるものと、その他お腹の病気についても触れていますので見てみてください。
更年期障害とお腹の不快感の関係
なぜ、更年期にさしかかるとお腹の不快感が現れるのでしょうか。
今までは、少し時間が経つと楽になったり、一過性のものだったのに、最近はずっとお腹の調子が悪い・・・
その原因は、女性ホルモンのバランスが崩れることによって起こります。
女性ホルモンのバランスが崩れることによって、自律神経のバランスも崩れてしまいます。
この女性ホルモンと自律神経のバランスが崩れることで、いままでうまくできていた、腸の運動機能がうまく働かなくなることが、更年期障害によるお腹の不快感の1番大きな原因です。
ただ、それ以外でも更年期障害の症状に起因する原因もいくつかあります。
更年期障害でのお腹の不快感が起こる様々な要因
自律神経のバランスが崩れることによるもの
更年期になると、エストロゲンという女性ホルモンが急激に低下します。
それにより、女性ホルモンのバランスが崩れてしまい、体の調子も不安定になります。
女性ホルモンバランスが崩れると、自律神経もバランスを崩してしまうのです。
自律神経がバランスを崩すことによって、腸の動きもスムーズにできなくなってしまいます。
多くは、腸の動きが低下して便秘になりやすいのですが、人によっては、腸が動きすぎて下痢になる方もいます。
この自律神経の乱れによる腹痛は、便秘や下痢などが挙げられます。
運動不足によるもの
更年期障害による体のだるさ、疲れやすさ、無気力から、ついつい運動不足に陥りやすくなしますが、この運動不足も便秘などのお腹のトラブルにつながります。
運動をしなくなると、お腹周りの筋肉が刺激されなくなり、便秘になりやすくなります。
便秘と腹部周囲の筋肉は大きな関係があり、運動不足が続くことによって、筋力が衰えると、さらに慢性的な便秘に悩まされる可能性もあります。
ストレスによるもの
更年期障害の他の症状によるストレスや気持ちのもやもやなどからも、お腹のトラブルは引き起こされます。
ストレスが体に出やすい人と、そうでない人はいますが、ストレスによって便秘気味になる、または下痢気味になるという人がいます。
これは、直接的に女性ホルモンによって自律神経のバランスが崩れていなくても、強いストレスによって自律神経が崩れる場合があります。
ストレスによって腸が過敏に反応してしまう状態のことを、過敏性腸症候群といいます。
日常的にストレスを感じたらお腹が痛くなる、という方は、もしかすると過敏性大腸症候群かもれません。
また、ストレスを感じることで、胃が痛いなどの胃の症状を引き起こしてしまうこともあります。
更年期ポイント-289x300.png)
過敏性腸症候群とストレスによる胃の痛みについては後ほど解説します
更年期障害によるお腹のトラブルの例
更年期障害で現れやすいお腹のトラブルとは、どのようなものがあるのでしょうか。
代表的な症状にはこのようなものがあります。
- 便秘
- ガスだまり
- 下痢
- 消化不良
などがあります。
どのような症状なのでしょうか。
1つずつ見ていきましょう。
便秘の症状
なかなかすっきりと便が出ず、いつもコロコロとしたウサギの糞のような便がでるなど、すっきりとはしないが少しずつ排泄があったり、全く出る気配がないなど、人によって症状は様々です。
お腹が張った感じがあるのにすっきりとしない、という症状が長く続ことが多いようです。
ガスだまりの症状
お腹が異様にぽっこりとしたり、ガスがたまり苦しい、などの症状が現れます。
外出先などでもお腹が張ってしまい、突然ガスがでてしまい、恥ずかしくてこまっている。
という方もいらっしゃるかもしれません。
腸の運動が低下してしまうことで、便が腸内に長く便がとどまりガスが多く発生してしまうことが大きな原因です。
便秘を解消できれば、症状は軽減できることが多いです。
下痢の症状
更年期障害で便秘に悩まされる方も多いですが、下痢に傾く方もいます。
これは、自律神経の乱れにより、腸が動きすぎてしまうことによるものです。
腸の動きが活発になることで、ゆっくりと水分などを吸収することができずに下痢になってしまうのです。
消化不良の症状
消化不良は、自律神経やストレスなどによって胃の動きの悪くなり、しっかりと消化ができないまま腸に食物が送られてしまい腸に負担がかかるために起こります。
ムカムカしたり、食後いつまでも胃が重かったりという症状があります。
消化不良の場合も下痢になりやすくなります。
治療の必要な腹部症状
先ほど、過敏性腸症候群について少し触れましたが、そのほかにも治療が必要な疾患もあります。
更年期障害によるお腹の不快感や各種の症状だから大丈夫と思って放っていると、悪化してしまい治療に時間がかかることもあります。
また、治療が必要でなくなる病気もありますので、どちらも見ていきましょう
。
過敏性腸症候群
原因ははっきりとは解明されていませんが、ストレスによって引き起こされる便秘や下痢が現れる状態のことをいいます。
ストレスを感じることで放出されるストレスホルモンによって、腸が反応してしまい、便秘・下痢が起こります。
この便秘や下痢がさらにストレスとなり、少しのストレスにも腸が反応してしまう過敏状態に陥ることで、日常的に便秘・下痢に悩まされます。
治療としては、便秘や下痢、またどちらも繰り返すなど、分類によって異なり、種類によって治療法も異なります。
基本的には薬の内服による治療です。
ストレスを感じやすく、日常的にお腹の症状に悩まされる方は、一度医師に相談されると良いと思います。
逆流性食道炎
更年期障害によってストレスが多くなり、そのストレスが解消されにくくなると、胃にも負担がかかります。
自律神経のバランスが崩れてしまうと、胃酸の分泌が過剰になり、自分の胃の粘膜なども傷つけてしまいます。
その過剰に分泌した胃酸が、寝ている間などに食道に逆流してしまうことで起こります。
症状は
- ムカムカ感
- 胸とお腹の間(心窩部)が痛い、焼けるような感覚がある
などがあります。
寝起きなどの胸焼けのような不快感が非常に強いのも特徴です。
逆流性食道炎は繰り返すことによって、食道癌の原因にもなりますので、このような症状のあるかたは、受診をお勧めします。
治療は、胃酸の分泌を抑制するお薬の処方や、食後すぐに寝ない、横にならないという生活習慣の見直しも有効な治療法です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
逆流性食道炎でもお話しましたが、胃酸が過剰に分泌されると、胃自体の粘膜も傷つけます。
胃潰瘍はピロリ菌が原因とも言われますが、胃酸の過剰分泌も大きな原因のひとつです。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、粘膜に潰瘍というくぼみができてしまう状態のことをいいます。
この状態が長く続くと、次第にくぼみが貫通してしまい、胃や十二指腸潰瘍の壁に穴が開いてしまいます。
その結果、多量の出血が起こり、最悪の場合死に至ることもある恐ろしい病気です。
しかし、早期に適切な治療をすれば、完治できます。
胃潰瘍の場合の症状
- 空腹時に強くなる胃痛
- 胃のキリキリとした痛み
- 色の黒い便が出る(タール便)
十二指腸潰瘍の場合の症状
- 食後に強くなるみぞおち近くの痛み
- 焼ける様な腹部痛
- 色の黒い便が出る(タール便)
などがあります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は自然治癒は時間がかかり難しいため、是非治療をおすすめします。
検査は、胃カメラでの検査で、状態を確認し、内服薬にて治療します。
一方、今まで治療してきた病気が、更年期によって治療しなくても良くなる病気もあります。
子宮内膜症
子宮内膜症は、エストロゲンの増減によって子宮内膜が増殖する際、異常に増殖してしまったり、ひどい場合には卵管や卵巣に癒着してしまうことがあります。
しかし、更年期ではエストロゲンが減少していくので、子宮内膜が増殖するきっかけがなくなります。
もちろん、主治医との相談し、状態をみて治療を検討していく必要がありますが、一般的には、積極的な治療は必要なくなることが多いです。
子宮筋腫
こちらも、エストロゲンの易経を受けて筋腫が大きくなったり、新しい筋腫が発生したりします。
更年期により、エストロゲンが減少すると、子宮筋腫の状態は変化しなくなることがほとんどです。
しかし、更年期以降の筋腫や、もともとの筋腫が大きくなるなどは、悪性の可能性もありますので、注意が必要です。
いずれにしても、更年期以降にだらだらと続く出血などがある場合は、受診してみることをおすすめします。
更年期の腹痛やお腹のトラブルの対処法
更年期になって現れ始めたお腹の不快感ですが、少しでも自分で改善する方法はないのでしょうか。
更年期上半身-253x300.png)
日常生活のなかで症状が軽くなれば嬉しいですよね。ぜひ参考にしてみてください。
食生活の見直し
更年期障害によって、やる気が出なかったり、生活リズムが崩れてしまったりして、食事もついつい作りたくない、外食やファストフードで済ませてしまうなども多くなることがあります。
外食やファストフードは、すべてが当てはまる訳ではありませんが、野菜など、食物繊維が少ない傾向にあります。
食物繊維が不足してしまうと、便秘になりやすくなったり、ガスも溜まりやすくなります。
お腹が張ってしんどい、便秘傾向の方は、食生活を見直してみましょう。
食物繊維も効果がありますが、便秘が続くと腸内細菌のバランスが悪くなってきます。ヨーグルトなどの腸内細菌を整えてくれる食べ物も試してみると良いかもしれません。
運動習慣の見直し
やる気がなくて運動不足が気になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、運動不足になると腸の運動も低下してしまい、便秘になりやすくなります。
運動不足が長く続くと、お腹周りの筋肉の筋力も衰えてきます。
お腹周りの筋肉が衰えると、排便の際にいきみにくくなり、さらに便秘になりやすくなります。
何か特別な運動などはしなくても、普段の家事を少し行う、買い物に出かけるなど、いつもの生活程度の運動でも、腸は刺激されたり筋肉も知らないうちに使っています。
便秘やガスだまりが気になる方は、参考にしてみてください。
隠れ脱水について
更年期障害によって、ついつい家の中でじっとしていてしまう、特にホットフラッシュのある方は、隠れ脱水に注意が必要です。
隠れ脱水は、自分では気づかないうちの脱水状態になっていることをいいます。
家でじっとしていると、あまり喉も渇かず、気づけば長い時間水分を摂っていなかったり、ホットフラッシュで汗を思っているより多くかいていたりと、隠れ脱水は身近に潜んでいます。
隠れ脱水に陥ってしまうと、腸でより多くの水分を吸収しようとしてしまい、便が硬くなってしまいます。
そうすると、便が出にくくなって、慢性的な便秘になりやすくなります。
自分ではそこまで喉が渇いていないようでも、時々少しづつ水分を摂ることで便秘の改善も期待できますが、体のだるさなども改善されることもあります。
特にホットフラッシュでの発汗がある方は、注意してちょこちょこ水分を意識してみてください。
更年期ホットフラッシュ-283x300.png)
ホットフラッシュが一日に何度もあると、案外汗をかいているものなのね・・・
ストレスの発散
ストレスを多く感じると、脳からの刺激で腸が反応し便秘や下痢につながることがあります。
先ほど、治療の必要な腹部症状でご紹介しましたが、過敏性腸症候群という状態になってしまうこともあります。
ストレスを感じて、腸が反応してしまうということはある程度体質的な問題もありますが、ストレスの発散や、意識を違うところへ向けることも対策の1つです。
何かに没頭する時間を作ってストレス発散を図ったり、買い物をするなどして出かけたりするのも良いかもしれません。
更年期の腹痛と生理痛の違い
更年期に入り気になり始めた腹痛と、長く付き合ってきた生理痛ですが、症状にはどのような差があるのでしょうか。
生理痛の特徴
生理痛の特徴としては、2つの原因があります。
1つめは、生理が始まるとプロスタグランジンという、痛みを起こす成分がたくさん体内に生産されます。
このプロスタグランジンという物質は、女性のライフサイクルにとても重要なもので、出産後の子宮の収縮にも大きく関わっています。
しかし、このプロスタグランジンによって子宮が強い収縮を起こすために腹痛を起こしたり、痛みの元となる物質に様々な箇所が反応し、頭痛などの症状が起こることもあります。
そして2つ目は、骨盤内のうっ血による冷えからくる腹痛や腰痛です。
生理痛の痛みの特徴は
- 痛みとだるさが混合するような痛み
- 重く感じたり、冷えを強く感じる
- 胃がキリキリと痛む、吐き気がある
- 冷えからくる下痢による腹痛
などがあります。
生理痛にも個人差が大きくありますが、生理周期に合わせて症状がひどくなったり、緩和されたりしてきます。
生理痛の場合、長い期間同じような腹痛が続くことはありません。
では、更年期による腹痛はどのようなものなのでしょうか。
更年期障害による腹痛
更年期による腹痛は、生理痛とは違い女性ホルモンの変動による周期はありません。
これまでにお伝えしてきたような症状に長い期間悩ませたり、便の状態が変わるなどの特徴があります。
また、重だるいような痛みは生理痛特有の痛みですが、更年期による腹痛は、腸や胃の不調に伴う痛みがほとんどです。
腹痛を伴う重大な病気
更年期障害の影響でお腹の調子が悪いと思っていても、実は更年期障害とは関係なく重要な病気が隠れていることがあります。
先ほども出てきた胃潰瘍や十二指腸潰瘍も治療が遅れてしまえば、命に関わる病気ではありますが、そのほかにもありますので見ていきましょう。
胃がん
胃がんは日本では40代以上で罹患率が高くなっています。
男女に差はありません。
原因はいくつかありますが、最近ではヘリコバクターピロリ菌の影響が大きいと言われています。
胃がんの症状は、胃痛や食欲不振など、ちょっとした胃の不調や胃潰瘍などでも現れる症状です。
進行した状態でも無症状のこともあります。
胃の粘膜から出血するために、黒い色の便(タール便)が出たり、強い貧血症状が現れたりすると、進行胃がんの可能性があります。
胃がんの診断は内視鏡検査などで行います。
胃の不快感が長く続いたり良くならないという方は、ぜひ一度受診をおすすめします。
大腸がん
大腸がんは、40代から50代で罹患率が増え、加齢とともに増加します。
男性は女性に比べると2倍程度と罹患率が高い傾向にあります。
原因は飲酒や肥満、食事の欧米化が原因といわれています。
症状は、お腹が張ったり、便の残った様な感じがある、便秘と下痢をL繰り返すなどがあります。
大腸がんの出血の場合は、胃がんと違い赤い出血があります。
胃がんは出血した血液が酸化され黒く変色しますが、大腸がんでの出血では酸化せずに出てくるので赤いのです。
大腸がんも進行するまでは、なんとんなくお腹の調子が良くないという感じのまま放置してしまうことも多くあります。
大腸がんの検査は、まずは便の中に出血がないかを確認する簡単な検査から始められます。
便の状態が変わって気になる方や、腸の不快感が長く続く方は検査を検討をしてみてください。
つらい腹部症状は我慢せずに受診を
大きな病気ではなくても、便秘や下痢など、お腹の不快感が長く続くと精神的にも気持ちのいいものではありません。
お腹の症状が気になると、明るく日常生活を送れなくなる可能性もあります。
医療機関に相談してみると、漢方薬や整腸剤、症状に合わせたお薬などを処方してもらいことで症状が軽くなくこともあります。
更年期障害による腹部症状はずっと続くものとは限りません。
今の症状を我慢し続けるよりも、症状を軽くすることで心も軽くなるかもしれません。
あまり気構えず、受診してみることも選択肢に入れてみてくださいね
まとめ
更年期障害によるお腹の不快感について見てきましたが、いかがでしたか?
更年期障害によるお腹の不快感は気持ちのいいものではありません。
また、更年期が現れる時期には重要な病気が見つかる時期でもあります。
一概に更年期のせいとは決めつけず、長く症状が続いたり症状が重くなっていくなどの症状があれば、一度検査をされることをおすすめします。
市町村などで行われている特定健診などを受けてみられることも良いと思います。
検診の内容は市町村によって多少異なりますが、検診の時に更年期障害でのお腹の症状を相談してみると、その後も継続して診察してもらえるかもしれませんし、必要であれば検査もしてもらえます。
ご自身の体調や症状をよく把握しながら、対策をしてみたり、受診を検討してみたりと、ぜひこの記事を参考にしてみてください。